[コラム]脳のトップダウン情報処理は社会の組織と似ている?

これは、佐々木 拓哉(東京大学)氏の、『脳と情報——神経回路と記憶のメカニズム——』の「コラム」」を公開したブログ記事です。


コラム~脳のトップダウン情報処理は社会の組織と似ている?

本章で見たように、脳の情報処理は、前頭前皮質など高次の脳領域(感覚器から遠く、多数の中間層を経て辿り着く領域)から生じるトップダウン情報処理に強く支配されています。論争もありますが、一部の脳領域ではトップダウン信号の寄与が8割にのぼるとも言われています。

会社のような組織でも、社長や重役から末端の社員へトップダウン的な指示が出される場合と、現場の社員の情報が複数の上司を経て社長までボトムアップ的に伝達される場合があります。大きな会社(ネットワーク)になるほど、中間に位置する社員に課せられる仕事はトップダウン的な要素が優勢になり、ボトムアップの情報が上層部に届きにくくなるはずです。このように社会の組織構造が、脳の情報処理と類似しているというのは、秩序の形成(トップダウンのおかげ)と創造性(ボトムアップあってこそ)とのバランスという観点で興味深い点と言えます。


目次構成:

◎全体の目次構成:
はじめに
推薦文(池谷裕二)
第一章 脳の情報処理を知るには神経回路を知る必要がある
第二章 神経回路の基本的な構造と機能
第三章 神経回路を調べるための実験技術
第四章 神経回路における感覚情報の流れ
第五章 神経回路における多様な入出力パターン
第六章 記憶と学習の神経回路
第七章 脳の自発活動と神経回路
第八章 今後の神経回路研究
おわりに

□知識カードの例:(第一章 脳の情報処理を知るには神経回路を知る必要がある)~アイカードブック(iCardbook)は知識カードを編成した電子書籍です。

1 脳機能の一般的説明
2 脳機能の一般的説明 その二
3 脳機能は単一の脳領域だけでは説明できない
4 脳機能は単一の脳領域だけでは説明できない その二
5 脳機能は単一の脳領域だけでは説明できない その三
6 脳機能は単一の脳領域だけでは説明できない その四
7 神経細胞(ニューロン)レベルの研究の必要性
8 脳は神経細胞の集合である
9 脳機能は神経回路から生まれる
10 脳機能は神経回路で説明できる その二

『脳と情報——神経回路と記憶のメカニズム——』はアイカードブックの一冊です。

◎脳の原理を「神経回路」の視点から解説した、あまり他に例のない脳神経学の本。「神経回路」の視点から考えることで、たとえば、人工知能との違いも見えてくる。

 

■アイカードブック(iCardbook)については、こちらをどうぞ。

アイカードブック創刊の狙い | ちえのたね|詩想舎 http://society-zero.com/chienotane/archives/5063

本のネットワーク化 – iCardbook|知の旅人に http://society-zero.com/icard/network

日本人の情報行動の変化と<本>の未来 | ちえのたね|詩想舎 http://society-zero.com/chienotane/archives/7396/#4

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