対面コミュニケーションと身体のつながり

言葉が登場するまで、人間のコミュニケーションはしぐさと音声による全体的な表現だった。この対面コミュニケーションは相手の感情を読み、相手を操作する上で重要で、目が大きな役割を担っているI):人間の目は眼裂が横長で、白目と虹彩の色が違うので目の動きがはっきり分かる。この白目は霊長類の中で人間だけの特徴で、この動きから相手の心の動きを読むことができる。。アイコンタクトを伴う対面交渉は音楽と共に、仲間同士のきずなを強め、一体化する気持ちを高めて協力行動を促進した。

このように、言語以前のコミュニケーションは身体のつながりを強める接着剤の役割を果たしたと考えられる。


『人類進化論—霊長類学からの展開—』第六章・第三節 対面交渉と食物の分配  山極寿一(裳華房、二〇〇八年)

『家族進化論』第六章・第十節 コミュニケーションの変容  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

 

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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I. :人間の目は眼裂が横長で、白目と虹彩の色が違うので目の動きがはっきり分かる。この白目は霊長類の中で人間だけの特徴で、この動きから相手の心の動きを読むことができる。