ムダーラバによる金貸しの対価として貸し手が受け取る儲けは、なぜリバーの禁止に抵触しないのか。貸し手と借り手が儲けと損失を分け合うムダーラバでは、貸し手も借り手のビジネスが成功するように積極的にアドバイスをすることが求められている。そのため、貸し手は借り手のビジネスの共同事業者のような存在であり、貸し手が手に入れる対価は借り手のビジネスという実物取引の儲けと直接的につながっている。しかも、対価の量はビジネスの成功・失敗と連動しており、金貸しが実物経済に埋め込まれている点が金貸しの儲けの正当化の根拠になるのである。

参考文献：
『現代イスラーム金融論』第１章：イスラーム金融の展開と金融システム　　長岡慎介（名古屋大学出版会、2011年）
「イスラーム金融を作る―法学者たちの静かなる革命」長岡慎介　『現代中東の宗教・メディア・ネットワーク―イスラームのゆくえ』　　千葉悠志・安田慎編（春風社、2021年）

 

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★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済（下）　金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。

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