言語による意識の変容

言葉をしゃべるようになって、人類は時間と空間を超えて物事を伝えられるようになり、世界や社会を比喩によって見る視点を持つようになった。

また、物事の因果関係をさぐる思考様式と結果への目的意識を高め、自らの行動を過去に遡って改善し、将来に対する計画性を強く持つようになった。

さらに、言葉は音楽と結びついて集団意識を高揚させ、意味が付与されて目的を持って歌われるようになった。音楽は神を称えるため、戦いへの恐怖を取り除き、戦闘意欲を高めるためにも使われて、権力者によく利用されるようになった。


■参考文献
『歌うネアンデルタール——音楽と言語から見るヒトの進化』  スティーヴン・ミズン 熊谷淳子訳(早川書房、二〇〇六年)原著二〇〇五年

『家族進化論』第六章・第十節 コミュニケーションの変容  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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