リバタリアニズムからの批判

ロールズが言うように、わたしたちは本当に、「生まれの差」によって社会的成功に差が出ることを、そもそも道徳的におかしいことといえるだろうか?

リバタリアニズム(自由至上主義)の理論家たちは、このロールズの〝前提〟それ自体を認めない。I):リバタリアニズム(libertarianism)は、他者の身体や正当に所有された物質的財産を侵害しない限り、各人が望む全ての行動は基本的に自由であると主張する。「リベラリズム」と区別する意味において、単に「自由主義」と訳すのではなく、完全自由主義、自由至上主義、自由意志主義などと訳される。

彼らはむしろ、ロールズのように「生まれの差」を何らかの形で平準化しようとする考えこそが、「自由」を侵害するものであると考えるのだ。


■参考文献
『現代政治理論[新版]』  ウィル・キムリッカ 原著二〇〇五年

 

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I. :リバタリアニズム(libertarianism)は、他者の身体や正当に所有された物質的財産を侵害しない限り、各人が望む全ての行動は基本的に自由であると主張する。「リベラリズム」と区別する意味において、単に「自由主義」と訳すのではなく、完全自由主義、自由至上主義、自由意志主義などと訳される。