エトムント・フッサールは、デカルト的世界観を乗り越えるべく思弁を開始しました。
デカルト的な世界観が諸学問を閉じ込めていることに気付き始めたのです。人工知能は、フッサールが現象学の基礎を構築し終えた20世紀前半以降に立ち上がった学問ですが、それでも人工知能は思惟する存在という枠の中にあり続けました。
現象学とはコギト(「我思うゆえに我あり」)から始まる合理的な世界を超えて、エポケーと志向性によって広がる経験世界全体を学問の射程に含める企てです。人工知能もまた、その射程の中で開発することで、より大きな可能性を根底から持ち直すことができます。
■参考文献
『論理学研究』 エトムント・グスタフ・アルブレヒト・フッサール※I):ドイツの哲学者。現象学の創始者。数学の研究から出発し、一九八三年数学の論文によりウィーン大学の博士号を取得。八四年から二年間ウィーンのF.ブレンターノのもとで哲学を学び,それ以後哲学研究に専念。先験的意識の本質構造に基づいて対象をとらえようとする現象学に到達。ハイデッガー・サルトルらに強い影響を与えた。[編集部]
原著一九〇〇~〇一年
「ゲーム、人工知能、環世界 考える存在から経験の総体へ、AIのための現象学的転回」 三宅 陽一郎 『現代思想』 2015年12月号 特集=人工知能 青土社 二〇一五年
★この記事はiCardbook、『<人工知能>と<人工知性>: —— 環境、身体、知能の関係から解き明かすAI—— 』を構成している「知識カード」の一枚です。
この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます
註
I. | 戻る | :ドイツの哲学者。現象学の創始者。数学の研究から出発し、一九八三年数学の論文によりウィーン大学の博士号を取得。八四年から二年間ウィーンのF.ブレンターノのもとで哲学を学び,それ以後哲学研究に専念。先験的意識の本質構造に基づいて対象をとらえようとする現象学に到達。ハイデッガー・サルトルらに強い影響を与えた。[編集部] |