ケータイ小説

ヒット作には、記憶を引き出す要素が散りばめられており、「心を揺さぶる」トリガーが組み込まれている。そのエッセンスだけを凝縮したのが、ケータイ小説である。ストーリーに深みを持たせるのではなく、情動の記憶を引き出し、登場人物の言動と一致させることを重視する(※I):その人に繰り返し起こる行動のパターンは、自分の意思だけではなく、環境要因が決めている。「よし、今年こそは自分を変えるんだ」と決意しても、環境が「いつもの自分」に引き戻してしまう。どうすれば変えられるか十分わかっているのに、気がつけば「いつもの自分」に戻っている。それまでの人生経験を反映し蓄積されたメンタルモデルが、ものごとを認知、解釈し、その人の行動を決めてしまうのだが、この仕組みの理解は、娯楽コンテンツのストーリー構築に必要不可欠なものになっている。)。特に、十代の女の子がもつメンタルモデルと行動習慣に特化しており、大人には響かない。

■参考文献
ケータイ小説がウケる理由』   吉田 悟美一 二〇〇八年
日本語ヴィジュアル系 ―あたらしいにほんごのかきかた』  秋月 高太郎 二〇〇九年

◎関連知識カード:臨場感と記憶メンタルモデル情緒的価値垢抜けない感じ


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I. :その人に繰り返し起こる行動のパターンは、自分の意思だけではなく、環境要因が決めている。「よし、今年こそは自分を変えるんだ」と決意しても、環境が「いつもの自分」に引き戻してしまう。どうすれば変えられるか十分わかっているのに、気がつけば「いつもの自分」に戻っている。それまでの人生経験を反映し蓄積されたメンタルモデルが、ものごとを認知、解釈し、その人の行動を決めてしまうのだが、この仕組みの理解は、娯楽コンテンツのストーリー構築に必要不可欠なものになっている。