屋久島と金華山島のサルの群れの大きさや性比の違いは、食物環境の直接的な影響だけが原因ではないだろう。社会構造には別の要因も作用する。丹念に調べると、屋久島でも大きな群れはオス割合が低いことが分かった。群れにいられるオス数の上限は群れの大きさに関わらず決まっているのかもしれない。
■参考文献
「日本の霊長類-ニホンザル研究の歴史と展望」 山極寿一(『日本の哺乳類学2.中大型哺乳類・霊長類』所収[二九~四九ページ] 東京大学出版会、二〇〇八年)
★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(上)「社会」の学としての霊長類学』を構成している「知識カード」の一枚です。
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