入出力という表現を用いると、神経活動は上流から下流へと単方向に伝わっていく印象を持ちますが、ほとんどの脳領域では、この考え方は当てはまりません。
実際には下流の神経細胞が上流の神経細胞ともシナプスを形成しているため、神経回路の下流の神経細胞まで伝わってきた情報を、再び上流の神経細胞にフィードバックすることが可能になります(図6)。脳では、こうしたフィードバックシステムが幾層にもわたって形成されており、より複雑かつ精密な出力調節を可能にしていると考えられます。I)二つの神経細胞の間に双方向の連絡が存在することも多いため、厳密には、上流・下流の細胞という表現は適切ではありませんが、ここでは、説明の便宜上、この表現を用いることにしています。
図6:ボトムアップとトップダウン情報処理
■参考文献(本のタイトルをクリックしてアクティブラーニング)
『ニューロンの生物物理 第二版』 宮川博義・井上雅司(丸善出版、二〇一三年)
『生体電気信号とはなにか―神経とシナプスの科学 (ブルーバックス)』 杉晴夫(講談社、二〇〇六年)
『神経とシナプスの科学 現代脳研究の源流 (ブルーバックス)』 杉晴夫(講談社、二〇一五年)
◎この文章に興味、関心を持ったら下記電子書籍を手元に。
それには表紙画像をクリック。
★この記事はiCardbook、『脳と情報——神経回路と記憶のメカニズム——』を構成している「知識カード」の一枚です。
◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック。
◎iCardbookについて
・アイカードブック(intelligent card book 略称:iCardbook)とは https://society-zero.com/chienotane/archives/5067
この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます
註
I. | 戻る | 二つの神経細胞の間に双方向の連絡が存在することも多いため、厳密には、上流・下流の細胞という表現は適切ではありませんが、ここでは、説明の便宜上、この表現を用いることにしています。 |