「経済統合」の三類型

イスラームには、ウンマ(イスラーム信徒共同体)とともに、もう一つの共同体の観念があった。それは「ダール・イスラーム」(イスラームの家)である。

「ダール・イスラーム」とは、「ダール・ハルブ」(戦争の家)が異教徒の支配する世界であるのに対して、イスラーム教徒がヘゲモニーを握る、それゆえにイスラーム法(シャリーア)に基づく統治が行なわれている世界を意味する。

ウンマの概念と重複するが、ウンマが信徒の結びつきからなる共同体であるのに対して、「ダール・イスラーム」はそのなかに非イスラーム教徒を抱える政治的な共同体である。

参考文献:
イスラム世界論―トリックスターとしての神』 序  加藤博(東京大学出版会、2002年)
イスラムの家からバベルの塔へ―オスマン帝国における諸民族の統合と共存 (社会科学の冒険)』  鈴木董(リブロポート、1993年)


 

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