法の本質

近代以降の法の本質を、わたしたちはこれまでの考察からひと言で次のように言い表すことができる。すなわち、法とは「自由の相互承認」を理念的に保障するものである、と。

ヘーゲルは次のようにいっている。

「法の体系は、実現された自由の王国であり、精神自身から生み出された、第二の自然としての、精神の世界である。」※I):引用 ヘーゲル『法の哲学』§四 (中公クラシックス、二〇〇一年)。 しばしば、法はわたしたちの「自由」を制限するものとして〝イメージ〟される。しかしそれは文字通り法の〝表象〟であって、近代以降においては——すなわち「自由の相互承認」が社会の原理として設定されて以降は——その本質はまさにこの「自由の相互承認」の制度的・理念的保障という点にこそある。あるいは、そうであって初めて、法はその「正当性」を持つのだといえる。

■参考文献
『法の哲学』  ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル 原著一八二一年

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I. :引用 ヘーゲル『法の哲学』§四 (中公クラシックス、二〇〇一年)。 しばしば、法はわたしたちの「自由」を制限するものとして〝イメージ〟される。しかしそれは文字通り法の〝表象〟であって、近代以降においては——すなわち「自由の相互承認」が社会の原理として設定されて以降は——その本質はまさにこの「自由の相互承認」の制度的・理念的保障という点にこそある。あるいは、そうであって初めて、法はその「正当性」を持つのだといえる。