市場と予想(その2)

アメリカの経済学者のジョン・メイナード・ケインズ(1883~1946)は、美人コンテスト(一番票を集めた候補者に投票した人が賞金をもらえるコンテスト)の例で、そうした他人が立てた相場の予想(についての自分の予想)の大きな影響力を的確に描いている。

そこでは、各投票者は自分が最も美しいと思う候補者ではなく、他人が誰に投票するかを予想してみんなが投票しそうな候補者に投票することになる。なぜなら、一番票を集めた候補者に投票していないと賞金をもらえないからである。結果的にコンテストで選ばれるのは、互いの予想が最も反映された候補者となり、それは投票者の純粋な好みにもとづく多数決の結果とは異なるものになるのである。

参考文献:
雇用、利子、お金の一般理論(講談社学術文庫)』  ジョン・メイナード・ケインズ 山形浩生訳(講談社、2012年)

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



【紙派のかたはこちらをどうぞ】

◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック