コンピュータの回路は、同じ入力が与えられれば、毎回同じ出力を生成します。しかし、脳は同じ入力に対しても、出力は一定ではなく、異なる出力を生成します(図20)。つまり、神経回路は入出力装置としてコンピュータほど完璧ではありません。
この不完全さによって、脳では認識の誤りや、気まぐれな動機や意思決定などが生じると考えられます。しかし逆に、このような性質があるからこそ、脳は無関係な記憶の連合をしたり、創造的なアイデアを生み出すこともできます。
■参考文献
『進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)』 池谷裕二(講談社、二〇〇七年)
『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)』 松尾豊(KADOKAWA/中経出版、二〇一五年)
『脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす (ブルーバックス)』 甘利俊一(講談社、二〇一六年)
『バグる脳 ---脳はけっこう頭が悪い』 ディーン・ブオノマーノ 柴田裕之訳(河出書房新社、二〇一二年)原著二〇一一年
★この記事はiCardbook、『脳と情報——神経回路と記憶のメカニズム——』を構成している「知識カード」の一枚です。
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