電気生理学的計測法でわかること その三 (集合活動としての脳波)

脳波に含まれる情報には、一つ一つの神経細胞の活動パターンを見分けるような解像度は無く、全体の神経回路の活動状態を大まかに反映した信号となります。脳では、動物が特定の状態にあるときに、多数の神経細胞が類似した周期で活動することがあります。脳波では、こうした細胞集団の集合活動を見ていることになります(図8)。

代表的な脳波としては、安静時に観察される一〇Hz程度のアルファ波や、ノンレム睡眠時に観察される〇・五Hz程度の徐波などがあります。こうした脳波パターンを解析することで、脳が過剰興奮するてんかん状態の検出や、意識レベルの評価など、医療診断での指標にも用いられています。

 

図8:脳から得られる電気信号


■参考文献(本のタイトルをクリックしてアクティブラーニング)

Rhythms of the Brain  Gyorgy Buzsaki Oxford University Press ,2006


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