電気生理学的計測法でわかること その二 (脳波)

脳に電極を挿入して得られる情報は、個々の神経細胞の活動電位だけではありません。

脳では、神経細胞の細胞体がない空間でも、隙間なく樹状突起や軸索、そしてシナプスが張り巡らされています。こうした空間に電極が存在していれば、微小な神経線維で生じるシナプス電位や、遠い部位に存在する細胞体の活動電位の総和が記録されます(図8)。

この電気信号は、主に二〇〇Hz以下の低周波帯において、特徴的な周期リズムをもつことが多く、一般に脳波と呼ばれる信号です(※I):神経細胞の集合活動としての脳波は、シグナルの精度は低下しますが、頭蓋骨を開けずに頭皮上から計測することも可能です。経頭蓋での脳波測定は、ヒトを対象とした実験や臨床診断でも用いられています。)。

 

図8:脳から得られる電気信号


■参考文献(本のタイトルをクリックしてアクティブラーニング)

Rhythms of the Brain  Gyorgy Buzsaki Oxford University Press ,2006

『ニューロンの生物物理 第二版』  宮川博義・井上雅司(丸善出版、二〇一三年)

 


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I. :神経細胞の集合活動としての脳波は、シグナルの精度は低下しますが、頭蓋骨を開けずに頭皮上から計測することも可能です。経頭蓋での脳波測定は、ヒトを対象とした実験や臨床診断でも用いられています。