状態・事実論的アプローチ

サンデルもテイラーも、細かな相違点はあるにしても、その思想の基本的構えは同じである。すなわち、両者は、わたしたちはそもそも文化的状況に埋め込まれた存在であるという「状態・事実」を前提にし、そしてそこから、それゆえ「共通価値」「共通善」の涵養が重要である、と論ずるのだ。

これを「状態・事実論的アプローチ」と呼ぶことにしよう。

■参考文献
『「自由」はいかに可能か―社会構想のための哲学』 第四章・第二節 サンデル  苫野 一徳 二〇一四年
『どのような教育が「よい」教育か』 第二章・第二節 欲望論的アプローチとその優位  苫野 一徳 二〇一一年

★この記事はiCardbook、『自由の相互承認 —— 人間社会を「希望」に紡ぐ —— (上)現状変革の哲学原理』を構成している「知識カード」の一枚です。

自由の相互承認
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