戦争は人類の本質ではない

「狩猟具が武器へと姿を変え、人類の集団闘争は狩猟から進化した」という考えは、どうやら真実ではなさそうだ。I):そもそも狩猟と戦争は動機が違う。狩猟は食べるための、生物的な生存のための活動。他方戦争は相手と合意するための自己主張で、経済的戦略的な選択肢のひとつ。相手が認めてくれれば戦いを続ける必要はないので止む。[編集部]

人類祖先が誕生したのは今から約七百万年も前だ。しかし、最初の狩猟具が現れたのは約五十万年前であり、最初の確実な集団闘争は農耕が始まった約一万年前まで現れていない。

人類進化の歴史のほとんどは、戦争とも狩猟具とも無関係であったといえる。


■参考文献
『5万年前に人類に何が起きたか——意識のビッグバン』  リチャード・G・クライン、ブレイク エドガー 鈴木淑美訳(新書館、二〇〇四年)原著二〇〇二年

 

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I. :そもそも狩猟と戦争は動機が違う。狩猟は食べるための、生物的な生存のための活動。他方戦争は相手と合意するための自己主張で、経済的戦略的な選択肢のひとつ。相手が認めてくれれば戦いを続ける必要はないので止む。[編集部]