複数の個人によって相互に共有された認識基盤としての「制度」(1)

複数の個人が相互に共有する認識基盤を「制度」と捉える考え方が、異端の経済学である制度学派(※I):アメリカで19世紀末から20世紀初頭にかけて形成された経済学の学派。イギリス古典派および一八八〇年代から有力となった抽象理論中心の経済学に対する反発と、アメリカで急速に強まっていた独占的・金権主義的経済体制に対する批判を背景に生まれた。当時アメリカは活発な技術進歩と南西部の広大な国内市場拡大で工業部門が急激な成長期にあったが、同時に、新たに多様な社会問題(独占体の形成、国民的規模の不況、巨大資本による土地投機などとそれへの組合などによる組織的反抗活動)を抱えていた。[編集部])の祖を言われるソースタイン・ヴェブレンによって20世紀初頭に示されていた。

彼は、一九〇九年の論文において、「制度」とは、「大部分の人間に共通な、ある定まった思考習慣」であると定義している。そして、言語は、典型的な制度となる。

■参考文献
『善い社会―道徳的エコロジーの制度論』  ロバート・N. ベラー 、ウィリアム・M. サリヴァン 他 原著一九八九年
"The Limitation of Marginal Utility"、 Veblen、 T. (1909) The Journal of Political Economy、 Vol.XVII、 No.9、 reprinted in The Place of Science in Modern Civilization、 1919
『言語的思考へ- 脱構築と現象学』  竹田 青嗣 二〇〇一年[編集部]

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I. :アメリカで19世紀末から20世紀初頭にかけて形成された経済学の学派。イギリス古典派および一八八〇年代から有力となった抽象理論中心の経済学に対する反発と、アメリカで急速に強まっていた独占的・金権主義的経済体制に対する批判を背景に生まれた。当時アメリカは活発な技術進歩と南西部の広大な国内市場拡大で工業部門が急激な成長期にあったが、同時に、新たに多様な社会問題(独占体の形成、国民的規模の不況、巨大資本による土地投機などとそれへの組合などによる組織的反抗活動)を抱えていた。[編集部]