未来の家族

家族と共同体は衣食住という暮らしの基本要素が支えてきた。その要素が個人に帰せられるようになったから家族も共同体も崩壊し始めたのである。すなわち、超スマート社会の中でその三要素を再考することが、信頼できる社会資本の復活に繋がる。かつてのように衣食住を「わかちあうもの」として楽しむ工夫を、情報機器を用いて実現すれば、昔とは違った家族や共同体が構成できるのではないだろうか。

環境への優しい配慮と科学技術の正しい理解が、その動きを地球社会の調和ある発展へ導いてくれるに違いない。そのとき、家族はきっと新しい形で生まれ変わるだろう。

(第2回 山極壽一(霊長類学):サル、ゴリラ研究から現代社会を考える(提言編) | ナショナルジオグラフィック日本版サイト https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/18/071000013/091800004/?P=2)


■参考文献
『家族進化論』第六章・第十一節 家族は生き残れるか  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

「こころの起源―共感から倫理へ」  山極寿一(『<こころ>はどこから来て、どこへ行くのか』所収 [一五五~二〇〇ページ]  河合俊雄・中沢新一・広井良典・下條伸輔・山極寿一(岩波書店、二〇一六年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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