脳の増大とヒトの社会性

 

 

脳容量の増大は子どもの成長に大きな影響を与えた。脳の成長に多大なエネルギーを必要としたため、身体の成長が遅れ、育児に大きな負担を強いるようになったのだ。

ヒトはこの課題を、母親だけでなく、父親や他のおとなたち、それに年上の子供たちがこぞって育児に参加する社会性を育てることで解決したのだろう。この共同保育によって高められた共感能力がおとな同士の間に広げられ、相手の立場に立っていっしょに問題を解決する社会性が発達した。

こうして食物分配に始まる食物革命が脳の増大をもたらし、結果として我々の社会性をはじめとする知的能力を高めたのではないだろうか。


■参考文献
『共感の時代へ:動物行動学が教えてくれること』  フランス・ドゥ・ヴァール 柴田裕之訳(紀伊國屋書店、二〇一〇年)原著二〇一〇年

「「人類史」のその先へ」  中沢新一・山極寿一(『現代思想』 二〇一七年六月号所収)

 

 


『人類の社会性の進化(上)「社会」の学としての霊長類学
(山極寿一・本郷峻)』

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