『資本主義の未来と現代イスラーム経済 （長岡慎介）』
上：資本主義の危機とイスラーム経済の登場
◎経済学的な常識の基礎の基礎を学べるテキスト。そこから近代資本主義の総括と足元の危機を回避するヒントまでもが学べる。
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◎ジブリの映画作品「千と千尋の神隠し」に登場するカオナシ。謎の多い、さまざまな解釈ができるキャラクターです。なかでも印象に残っているのはセン（主人公で本名は千尋）の歓心を買おうとカネやモノを出すシーンです。
これが見ようによっては、それまで「お互い様」の心情で担われていた社会のセーフティネットや公共財、社会インフラまでが民営化、商品化、市場化していく昨今の新自由主義の趨勢のナレの果てのようでもあります。そう見えてはきませんか。
お金って、お金を儲けるって、そもそもどういうことなんでしょうね。
■本の内容を紹介する：
「いかにお金儲けをするのか」「富とは何か」「市場とは何か」、そういった経済学入門レベルの疑問を丁寧に解き明かすことを通じて、資本主義とはそもそも何であるのか、資本主義のどこに問題があって、どこがまだ使えるのかが解きほぐされる。この過程で、参照される西欧経済学者はスミス、シュンペーター、ケインズ、マルクス、クズネッツ、ピケティ、ウォーラーステイン、ポランニーなど。
そのうえで現代社会の経済を人間生活にふさわしい本来の人間の経済へと転回させるための方策について、イスラーム経済という補助線から「資本主義の危機」を打開する道筋を示そうとする。
「自己調整的な市場経済」という幻想に浸っていては、金融資本主義の持つ虚構性が暴走し、人間的実在と自然的実在の崩壊を止められないことが明らかになりつつある21世紀を生きる私たちに必読の書。すべての人にエコノミック・リテラシー（経済の正しい理解）を！ with資本主義時代の社会科参考書。格差、貧困、公正へ思いをはせる人に。
■著者を紹介する：
著者の長岡慎介氏は現代資本主義の実相をイスラーム文明の視座から相対化する仕事で定評があり、日本におけるイスラーム金融実務の第一人者。その一方で小学生に「金融」や「経済」を語る活動を長年続けてもいるうえ、豊富な社会経験を持つ老若男女が集う放送大学での「教えと学び」の機会も潤沢。そこで得られた広い視野と深い語りの両立についての経験と能力が本書にも存分に反映されている。
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■詳細目次
第１章 資本主義とは何か
第１節 いかにお金儲けをするのか
第２節 市場とは何か
第３節 富とは何か
第４節 互酬・再分配・資本主義
第５節 資本主義の歴史的展開
第２章 近代資本主義の光と陰
第１節 加速する資本主義
第２節 市場化の経済学
第３節 格差と経済成長
第４節 グローバル資本主義の完成とその末路
第５節 資本主義はどこに向かうのか
第３章 金融資本主義化する世界
第１節 金融とは何か
第２節 金融資本主義の台頭
第３節 金融資本主義の末路
第４節 世界金融危機の教訓
第４章 イスラーム経済の登場と発展
第１節 イスラーム世界と近代
第２節 経済的イスラーム復興
第３節 イスラーム金融の登場
第４節 イスラーム金融の拡大
第５節 イスラーム金融の21世紀
第６節 イスラーム金融の現在
第７節 広がるイスラーム経済
下：金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克
http://society-zero.com/icard/017/index.html
