自然や人間の身体を機械であると考え、物質からの精神の独立を説くデカルトの思想の背景には、神の意志によって動かされる自然・身体・物質という世界観が見て取れる。
この世界観は、デカルトの同時代人の中でも共有されていた。
たとえば、スピノザの『国家論』では「もろもろの自然物を存在させ、したがってまた活動させる力は、神の永遠なる力そのものにほかならぬ」と記述されている。※I):引用 『国家論』 (岩波文庫、一九四〇年)
また、ジョン・ロックの『人間知性論』にも、「物質は、自分自身の力量では自分自身のうちに運動さえ産めない」とか、「物質は、明白に、自分自身のうちに運動を生む力能をもたないのである」という記述がある。※II):引用 『人間知性論』 (岩波文庫、一九七七年)
■参考文献
『国家論』 バールーフ・デ・スピノザ 原著一六七七年
『人間知性論』 ジョン・ロック 原著一六九〇年
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註
I. | 戻る | :引用 『国家論』 (岩波文庫、一九四〇年) |
II. | 戻る | :引用 『人間知性論』 (岩波文庫、一九七七年) |