感覚と運動の協応

高度な運動を生成するためには、感覚と運動の協応が必要です。

ある運動を実現するためには、それに伴って必要な情報を知覚から収集せねばなりません。※I):たとえば、バスケットボールでゴールを入れる選手はドリブルやジャンプの中で周囲から情報を収集しながら運動を形成し、いつでもその運動を修正できるようにしている。或いは、ドリブルをしている時、ゴールポスト前に来た時、飛び上がった時、それぞれの運動で要求される情報は異なります。

つまり、ここではある種の逆転現象、行動が感覚を規定する、ということが起こっています。まさに、それが知能の役割であるとも言えます。

外部への感覚、自分の身体への受容感覚の双方の情報を用いて身体に調整をかけながら、「運動の四つの生成段階」の四つのレベルを組み合わせて、全体の運動を生成するのです。


■参考文献
デクステリティ 巧みさとその発達』  ニコライ・アレクサンドロヴィチ・ベルンシュタイン 二〇〇三年

物質と記憶』  アンリ=ルイ・ベルクソン 原著一八九六年

人工知能のための哲学塾 第五回 「メルロ=ポンティの知覚論」資料 三宅陽一郎 二〇一六年 P.55

★この記事はiCardbook、『<人工知能>と<人工知性>: —— 環境、身体、知能の関係から解き明かすAI—— 』を構成している「知識カード」の一枚です。

人工知能と人工知性
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I. :たとえば、バスケットボールでゴールを入れる選手はドリブルやジャンプの中で周囲から情報を収集しながら運動を形成し、いつでもその運動を修正できるようにしている。或いは、ドリブルをしている時、ゴールポスト前に来た時、飛び上がった時、それぞれの運動で要求される情報は異なります。