人間にも反射があります。しかしそれは「インプット即アウトプット」ではありません。そこには時間的遅延を伴う構造があります。だから作用・反作用のような瞬時の反応にはならないのです。
アウトプットが内部の時間を通して、遅延されてアウトプットされてくる。他の生物にも内部時間の遅延の構造はあるが、人間の構造はより長く、複雑で、抽象性の高いところまで積み上がっています。たとえば、今日聞いたことを何年も経ってから理解して実行する。何年も前の感謝に根差して行動する、などがあります。
内部時間を持つことは、知能の極めて重要な性質であり、時間というものを内部運動によって持つのが人間の特徴です。
■参考文献
『人工知能のための哲学塾』 第二章・第六節 ベルクソンの哲学 三宅 陽一郎 二〇一六年
「進化と知能」 A.I.FM講演 、三宅陽一郎、二〇一三年
★この記事はiCardbook、『<人工知能>と<人工知性>: —— 環境、身体、知能の関係から解き明かすAI—— 』を構成している「知識カード」の一枚です。