包括的富の指標の限界

経済的価値創出への各資本の寄与を測る包括的富の指標は、我が国が直面する持続可能性に関する課題を捉えることができていない。

たとえば、生産への寄与という側面で人的資本を評価することは、高齢化にともなう将来の介護ニーズをどのように満たすのかという課題を捉えられない。また、人工資本についても、資産価値がなくなった人工物をどのように処理するのかという課題を捉えられない。

これは、資本ストックについても、あくまでも貨幣価値で評価しようとする新古典派経済学の枠組み自体に問題があるからだ。