ジョン・グレイは、「自由」は近代ヨーロッパという特殊な地域・歴史の下に生まれたローカルな価値理念に過ぎないとしたうえで、「自由理論のどこにも、他の政治的価値に対する自由の優先性の十分な証明が見あたらない。」と、「自由」の理念を批判した。I):引用 グレイ『自由主義論』 終章 (ミネルヴァ書房、二〇〇一年)
しかしグレイの「自由」批判は表層的なものだ。
「自由の優先性の十分な証明」は、これまで述べてきた通り、すでにヘーゲルに見られるものである。そしてヘーゲルが十分に明らかにした通り、わたしたちが本質的に「自由」を求めざるを得ない存在である限り、それは他の価値に圧倒的に優先する価値なのだ。
■参考文献
『自由主義論』 ジョン・グレイII):イギリスの政治哲学者(一九四八年~ )。自由主義に対する内在的告発者として知られ、「ポスト自由主義」の思索を重ねている。彼は、アル・カーイダなどイスラーム過激派も近代の所産と把握しつつアル・カーイダが九・一一に破壊したものは、西洋社会に深く根付いた近代性や啓蒙主義の価値観であったと、総括している。[編集部註] 原著一九八九年
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註 [ + ]
I. | 戻る | :引用 グレイ『自由主義論』 終章 (ミネルヴァ書房、二〇〇一年) |
II. | 戻る | :イギリスの政治哲学者(一九四八年~ )。自由主義に対する内在的告発者として知られ、「ポスト自由主義」の思索を重ねている。彼は、アル・カーイダなどイスラーム過激派も近代の所産と把握しつつアル・カーイダが九・一一に破壊したものは、西洋社会に深く根付いた近代性や啓蒙主義の価値観であったと、総括している。[編集部註] |