伊谷純一郎I):今西の弟子として研究に励んだ学生らは、大分県高崎山や宮崎県幸島でニホンザル群の餌付けに成功した。ニホンザルの社会についての最初の著作は、弟子のひとりである伊谷純一郎によって一九五四年に今西錦司編「日本動物記」の第二巻として出版された。それが『高崎山のサル』である。[編集部]は今西の方法論を用いてニホンザルの群れの中に構造を見出した。サルどうしに直線的な優劣順位があること、群れの空間構造が二重同心円を描くこと、血縁者の間に強い親和性があること、など数々の発見をした。
サルの群れは単なる個体の寄せ集めではなく、互いの認識に基づいて構造化された「社会性」をもっていたのだ。
■参考文献
『高崎山のサル』 伊谷純一郎(講談社学術文庫、二〇一〇年)
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