「記号主義」に対して、もう一つ違う考え方が「コネクショニズム」です。
これは19世紀後半から20世紀前半にかけて一般的となった、「人間の脳はニューロンと呼ばれる神経素子の電位差を利用した回路だ」という、生理学的知見を基礎としています。※I):ニューロンは、20世紀前半にホジキン=ハクスレー方程式によってその電気的伝播の性質が明らかにされました。この仕事は一九六三年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
一九五十年代に脳のニューロンの組み合わせを数学的にモデル化したものがニューラルネットワークです。コネクショニズムとは、ニューラルネットワークによって知能を実現しようとするアプローチのことです。※II):人工知能研究の歴史の中で、はじめて「Aritificial Intelligence(=AI)」という言葉が登場したのが一九五六年に行われたダートマス会議でのことでしたが、この時の宣言の中にも、すでにニューラルネットを対象とすることが含まれています。
ニューラルネットワークは連続な信号を処理する回路ですから記号を解することは全くありません。
■参考文献
『マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話』 森川 幸人 二〇〇〇年
『エージェントアプローチ人工知能 第2版』 Stuart Russell ・Peter Norvig 原著二〇〇三年
『人工知能のための哲学塾』 第一夜・コラム シンボリズムとコネクショニズム 三宅 陽一郎 二〇一六年
「ゲームにおけるニューラルネットワーク「NERO における学習と進化 」(後半) 三宅陽一郎
★この記事はiCardbook、『<人工知能>と<人工知性>: —— 環境、身体、知能の関係から解き明かすAI—— 』を構成している「知識カード」の一枚です。
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註 [ + ]
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II. | 戻る | :人工知能研究の歴史の中で、はじめて「Aritificial Intelligence(=AI)」という言葉が登場したのが一九五六年に行われたダートマス会議でのことでしたが、この時の宣言の中にも、すでにニューラルネットを対象とすることが含まれています。 |