互酬や再分配が優位だった時代にも、資本主義のしくみが見られないわけではなかった。原始的な社会においても、共同体どうしのやりとりでは両者の価格の違いを利用して金儲けをする商業資本主義的な交換が行われたと考えられており、それは後の遠隔地交易に発展した。また、中世のイスラーム帝国でも、資本主義がかなり浸透していたことがわかってきたりしている。日本の江戸時代でも、堂島米会所における世界初の先物取引に代表されるように、資本主義のしくみが江戸や大坂を中心に広まっていた。
参考文献:
『イスラム世界の成立と国際商業―国際商業ネットワークの変動を中心に』 家島彦一(岩波書店、1991年)
『異文化間交易の世界史』 フィリップ・カーティン 田村愛理他訳(NTT出版、2002年)
『大坂堂島米市場―江戸幕府vs市場経済(講談社現代新書)』 高槻泰郎(講談社、2018年)
★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。
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