知活人(chiikibito)のための「仮想図書館|iCardbookLibrary」

◎◎特定のコミュニティに対し「読み放題(無料)」を提供するサイトです◎◎

期間:~2021年7月31日

図書館の雫(しづく)と聖司(せいじ)

 

知活人(chiikibito)のみなさまへ

活きる、活かすの「活」は小学校二年生で学ぶ常用漢字です。部首にさんずいがあり、もともと水が勢いよく流れ出るさまを表わしています。

「ちいきびと(知活人)」は知を楽しみ生き生きと暮らしたい、あるいは知を地域に活かしていこうとする方々を表現する、造語です。知活人(chiikibito)は社会的課題、行政的難問、地球規模のイッシューなどに関心を寄せる人々でしょう。

知活人(chiikibito)が集まる特定のコミュニティに対し、このWebページはiCardbookの「読み放題」を提供いたします。お気軽にご活用ください。そしてどうぞ知の探索をお楽しみください。

iCardbookとは知を活性化しようと創案された、新しいホンの形、カード型専門書のことです。

 

使い方~作品一覧のURLをクリック~

・「ブラウザからのebook読書」が体験できます。アプリなどは要りません。

・アマゾンのKindleをはじめとする読書アプリにはもっとたくさんの機能があります。コミック以外の小説、実用書、専門書の新刊の多くを今では電子書籍で読めますが、検索、マーカー、メモなどは「推し」です。iCardbookでもぜひお試しください。

・また米国の電子図書館普及率は9割を超えていて、アプリ同様の多彩な機能を多くの人が楽しんでいます。電子図書館も「ブラウザからのebook読書」が体験できるサービスです。

 

・下記の作品一覧のURLをクリックし、お知らせした「ID/PW」を入力すれば手軽に「ブラウザからのebook読書」が体験できます。

作品一覧(著者肩書は2021年3月現在のものです)

1.現代資本主義の未来とイスラーム経済(京都大学教授 長岡慎介)

https://wp.me/p5Gp5K-2mW
NHK大河『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一に『論語と算盤』の著作があります。彼は論語をビジネスの規範に据えたのです。出世や金儲け一辺倒になりがちな資本主義を論語の道徳で律する。そうすれば「公」が具体化し他者を優先する豊かな社会を築ける、と考えたのでした。その栄一より1千4百年前に活躍した中東のムハンマドも栄一同様商人です。そして道徳と経済の両立をはかるイスラームという思想で、部族対立が絶えなかったアラビア半島に社会の秩序と経済繁栄とをもたらしたのでした。

その思想に、現代資本主義刷新のヒントを探るのが本書です。「金儲けって何?」、第一章からゆっくりゆっくり話は進んでいきます。1千4百年前に考案された道徳と経済の両立の仕組みを見ていきましょう。
https://wp.me/p5Gp5K-2mW

2.人類の社会性の進化(京都大学前総長 山極寿一/同特定研究員 本郷峻)

https://wp.me/p5Gp5K-2nK
上下巻に分かれていますが、京大前総長山極寿一氏が担当した下巻、それも最終の「第八章 家族の変容とヒト社会の未来」をまず読んでみてください(目次のクリックで飛びます)。霊長類学という堅い名前の学問が、スマホが当たり前の現代の私たちの生活へ警鐘を鳴らすのに驚きます。

地球上にヒトがここまで生物として繁殖したのには他の動物にない、ユニークな「社会性の進化」があったからです。その社会性萌芽の起点となった「家族」が、デジタル化が推し進める社会の変容に揺れています。
https://wp.me/p5Gp5K-2nK

3.人工知能と人工知性(ゲームAI開発者  三宅陽一郎)

https://wp.me/p5Gp5K-2oc
ヒトの社会性の進化に脳の発達が大きく寄与したことは明らかです。では一体その脳は自分の周囲をどう認識し、どうやって行動の優先順位を決めているのか。その解明なしに人工知能(AI)は成立しません。

そのメカニズムを知る近道が意外なところにありました。ゲームAIです。ゲームのキャラクターは敵を認知し、周囲の地形を把握し、持っている武器の使用を考え、移動を開始します。その仕組みづくり(プログラミング)が哲学の知見をもとに作られているとしたらどうでしょう。英語翻訳本のタイトルは「AI meets Philosophy how to design the Game AI」です。
https://wp.me/p5Gp5K-2oc

4.脳と情報(東京大学准教授  佐々木拓哉)

https://wp.me/p5Gp5K-2or
テレビや教室で「脳のこの部分が言語機能を司り」といった、部分と機能を対応させる説明をよく聞きます。しかし「あれはやや正確ではない」、と著者の佐々木氏は指摘します。池谷裕二門下生による「電気信号によるネットワークとして脳」の解説本です。

童話作家にして自然科学者の宮沢賢治は、脳が電気信号をベースにしたネットワークとして存在していることを知っていたのでしょうか。「春と修羅」序は次の言葉からはじまります。

「わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です」

 

https://wp.me/p5Gp5K-2or

 

耳をすませば 勉強する月島雫(しづく)

 

5.経済学はなぜ経済を救えないのか(千葉大学教授  倉阪秀史)

https://wp.me/p5Gp5K-2oE
著者は「環境制約下で持続するコミュニティづくり」を研究テーマとする経済学者。中学生・高校生などが2050年の未来市長として課題と政策を考える「未来ワークショップ」を全国の自治体で開催しています。そういった活動やこれまでの思索の集大成を成書にまとめる(刊行は今夏の予定)のに先立ち、大枠のデッサンをカード型専門書、iCardbook上下巻2点にまとめていただきました。

執筆中はいつもJohn Lennonの「Imagine」の一節、「Imagine no possessions(想像してごらん 所有のない社会を)」が頭の中を通奏低音のように流れている、とのことですよ。
https://wp.me/p5Gp5K-2oE

6.イスラームの経済社会 もうひとつの「市場と公正」(一橋大学名誉教授  加藤博)

https://wp.me/p5Gp5K-2ov
「Imagine no possessions」は、所有概念で「交換」行為を法律で裏付けそこから出てくる不都合を「再配分」で補正する「国家」を出現させた、「近代」文明に対する抵抗のつぶやきです。つまり西欧近代は経済社会の安定と持続性を目指し民主主義や国民国家の仕組みを考案したのでしたが、そのエンジンである資本主義はマネージが難しい代物で、さまざまな矛盾を引き起こしてしまいました。

しかし「交換」と「再配分」を、まったく異なる仕組みで達成しようとした文明がありました。イスラーム文明です。かれらが考案した「もうひとつの「市場と公正」」を学ぶのに便利な一冊が本書です。
https://wp.me/p5Gp5K-2ov

7.自由の相互承認 人間社会を「希望」に紡ぐ(熊本大学準教授  苫野一徳)

https://wp.me/p5Gp5K-2oL
西欧近代は「自由な個人」を保証することで世界に歓呼をもって迎えられ急速に地球上を覆いつくしていきました。ただしこの「自由」は「レッセフェール(自由放任)」とは異なります。「自由」もひとつの秩序の形態であって無秩序のことではないのです。そして西欧近代の成果、最大のイノベーションは、この秩序の頂点、統治の主体に王でも君主でもない大衆をおくことにした点にあります。統治の主体たる大衆のことを「市民」と呼びます。

市民は「自由」に対し自覚的でなければなりません。つまり「自由」をよく知る必要があります。本書下巻の「第6章「自由」の社会的条件」(目次のクリックで飛びます)から始めてみてはどうでしょう。たとえば次のような一節があります。

 繰り返し述べてきたように、「自由」のための社会的な根本条件は、「自由の相互承認」の原理に基づいた社会を構想することにある。
これを実質化するための根本条件は次の三つである。
すなわち、法、教育、福祉。

https://wp.me/p5Gp5K-2oL

 

耳をすませば 本を読む天沢聖司(せいじ)

 

ちなみに「活」には「カツ」の音読みがありました。気絶した人の意識をとり戻す術が「活」です。「失われた20年」に活を入れられるのは知活人(chiikibito)のみなさましかないと密かに期待しています。iCardbookLibraryを利用して知を日本の社会へ勢いよく流れ出させてください。

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※画像は「耳をすませば - スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI https://www.ghibli.jp/works/mimi/ 」を使用しています。

 

[追記:2021年6月23日]
在野の知の巨人がまたひとりなくなられました。立花隆氏、80歳。

立花隆氏はジブリの『耳をすませば』で主人公のお父さんをやっていましたね。主人公の月島雫の父親、月島靖也。

図書館の司書で、同時に郷土史研究家です。

天沢聖司が自分の夢を追いかけイタリア留学するのを見て、主人公の月島雫は「自分も頑張ろう」と物語を書くことを決心します。しかし受験を間近に控えた時期だったのですね。

そのときの父親の次の言葉は立花隆氏自身の言葉でもあった気がします。

「よし、雫、自分の信じる通りやってごらん。 でもな、人と違う生き方はそれなりにしんどいぞ。 何が起きても誰のせいにも出来ないからね。」