仮想図書館|iCardbookLibrary JEPA版

◎◎日本電子出版協会(JEPA)コミュニティに対し「読み放題(無料)」を提供するサイトです◎◎

期間限定:5月1日~5月31日

下記「作品一覧」の中で気になるタイトルがあったら、試しにクリックして「ブラウザ読書」してみてください。

図書館の雫(しづく)と聖司(せいじ)

この仮想図書館で「ブラウザからの電子書籍読書」を体験して頂いた後、感想や質問を頂けませんでしょうか。JEPAでは「いまさら聞けない電子出版」というセミナーをシリーズでお届けしていますが、その内容に反映させたいと思います。

ご感想、質問は shisousha.jin@gmail.com まで(ひとつひとつへの返信はできませんが、参考にさせていただきます)。


■狙い

このサイトは主に文字ものを中心とする中小の出版社の電子化を後押し、具体的な気づきやヒントが得られるよう、公開されるものです。

A:リフロー型EPUBは書籍編集制作工程の川上から発想すればそれほど難しいものではありません。
 B:公開のために使ったbibiはオープンソースソフトウェアで、電子書籍をブログ上で読める状態を作るのにコストはかかっていません。

Aについての補足:読み放題対象作品は詩想舎が取り扱っているものです。詩想舎は丸善出版をリタイアした60代の人間が「ひとり出版者」で展開している企業ですが、代表は法学部出身でIT系の素養があるわけではありません(どちらかというとIT音痴)。「でんでんコンバータ」で原稿をEPUB化しています。
・電書ちゃんのでんでんコンバーター - でんでんコンバーター https://conv.denshochan.com/

Bについての補足:Bibiは特定の書店の専用ブラウザではなく、日本電子出版協会(JEPA)で電子出版アワード2020エキサイティング・ツール賞を獲得しています。制作者は松島智氏。ちなみにAにでてきた「でんでんコンバータ」も2013年の電子出版アワード大賞を獲得、制作者は高瀬拓史氏です。
・Bibi | EPUB Reader on your website. — ビビ。EPUB リーダを、あなたのウェブサイトに。 https://bibi.epub.link/

 

■CSSは「組方指定書」

電子出版にはCSSやHTMLへの理解が肝になります。HTMLとはざっくりHPのことです。いまではどの社内でも自社HPを担当する社員がいて、すでに経営上の知識の一部となっていることでしょう。

CSSはしかしHTMLのようにはいかないかもしれません。ですが、要は電子出版の「組み方指定書」のことです。

組み方指定書、組版指定書、組版発注書、などなど。出版社によって呼び方はいろいろです。版元から印刷会社に「入稿原稿」を渡すとき、紙面、レイアウトについて版元の意向を伝達するツールが「組方指定書」または「組版指定書」「組版発注書」ですね。

リフロー型電子書籍の紙面をどう構成しようか。それを表現するのがCSSです。詩想舎は独自のCSSを考案、レーベル名iCardbookを展開しています。


・CSSとは? JEPA|ebookpedia  https://www.jepa.or.jp/ebookpedia/201512_2782/


iCardbookとは知を活性化しようと創案された、新しいホンの形、カード型専門書のことです。

まずは下記「作品一覧」の中から、試しにクリックして「ブラウザ読書」をお楽しみください。

icard 表示例

 

■使い方~作品一覧のURLをクリック~

・「ブラウザからのebook読書」が体験できます。アプリなどは要りません。

・アマゾンのKindleをはじめとする読書アプリにはもっとたくさんの機能があります。コミック以外の小説、実用書、専門書の新刊の多くを今では電子書籍で読めますが、検索、マーカー、メモなどは「推し」です。

・また米国の電子図書館普及率は9割を超えていて、アプリ同様の多彩な機能を多くの人が楽しんでいます。電子図書館も「ブラウザからのebook読書」が体験できるサービスです。日本ではコロナ禍のもと近時普及に弾みがついているようです。

・下記の作品一覧のURLをクリックすると期間中、「ブラウザからのebook読書」を体験できます。

 

■作品一覧(著者肩書は2021年3月現在のものです。)

1.現代資本主義の未来とイスラーム経済(京都大学教授 長岡慎介)
https://wp.me/p5Gp5K-2qw
NHK大河『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一に『論語と算盤』の著作があります。彼は論語をビジネスの規範に据えたのです。出世や金儲け一辺倒になりがちな資本主義を論語の道徳で律する。そうすれば「公」が具体化し他者を優先する豊かな社会を築ける、と考えたのでした。その栄一より1千4百年前に活躍した中東のムハンマドも栄一同様商人です。そして道徳と経済の両立をはかるイスラームという思想で、部族対立が絶えなかったアラビア半島に社会の秩序と経済繁栄とをもたらしたのでした。

その思想に、現代資本主義刷新のヒントを探るのが本書です。「金儲けって何?」、第一章からゆっくりゆっくり話は進んでいきます。1千4百年前に考案された道徳と経済の両立の仕組みを見ていきましょう。
https://wp.me/p5Gp5K-2qw

2.人類の社会性の進化(京都大学前総長 山極寿一/同特定研究員 本郷峻)
https://wp.me/p5Gp5K-2qz
上下巻に分かれていますが、京大前総長山極寿一氏が担当した下巻、それも最終の「第八章 家族の変容とヒト社会の未来」をまず読んでみてください(目次のクリックで飛びます)。霊長類学という堅い名前の学問が、スマホが当たり前の現代の私たちの生活へ警鐘を鳴らすのに驚きます。

地球上にヒトがここまで生物として繁殖したのには他の動物にない、ユニークな「社会性の進化」があったからです。その社会性萌芽の起点となった「家族」がデジタル化が推し進める社会の変容に揺れています。
https://wp.me/p5Gp5K-2qz

3.人工知能と人工知性(ゲームAI開発者  三宅陽一郎)
https://wp.me/p5Gp5K-2qC
ヒトの社会性の進化に脳の発達が大きく寄与したことは明らかです。では一体その脳は自分の周囲をどう認識し、どうやって行動の優先順位を決めているのか。その解明なしに人工知能(AI)は成立しません。

そのメカニズムを知る近道が意外なところにありました。ゲームAIです。ゲームのキャラクターは敵を認知し、周囲の地形を把握し、持っている武器の使用を考え、移動を開始します。その仕組みづくり(プログラミング)が哲学の知見をもとに作られているとしたらどうでしょう。英語翻訳本のタイトルは「AI meets Philosophy how to design the Game AI」です。
https://wp.me/p5Gp5K-2qC

4.脳と情報(東京大学准教授  佐々木拓哉)
https://wp.me/p5Gp5K-2qF
テレビや教室で「脳のこの部分が言語機能を司り」といった、部分と機能を対応させる説明をよく聞きます。しかし「あれはやや正確ではない」、と著者の佐々木氏は指摘します。池谷裕二門下生による「電気信号によるネットワークとして脳」の解説本です。

童話作家にして自然科学者の宮沢賢治は、脳が電気信号をベースにしたネットワークとして存在していることを知っていたのでしょうか。「春と修羅」序は次の言葉からはじまります。

「わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です」

https://wp.me/p5Gp5K-2qF

耳をすませば 勉強する月島雫(しづく)

 

 

5.経済学はなぜ経済を救えないのか(千葉大学教授  倉阪秀史)
https://wp.me/p5Gp5K-2qI
著者は「環境制約下で持続するコミュニティづくり」を研究テーマとする経済学者。中学生・高校生などが2050年の未来市長として課題と政策を考える「未来ワークショップ」を全国の自治体で開催しています。そういった活動やこれまでの思索の集大成を成書にまとめる(刊行は今夏の予定)のに先立ち、大枠のデッサンをカード型専門書、iCardbook上下巻2点にまとめていただきました。

執筆中はいつもJohn Lennonの「Imagine」の一節、「Imagine no possessions(想像してごらん 所有のない社会を)」が頭の中を通奏低音のように流れている、とのことですよ。
https://wp.me/p5Gp5K-2qI

6.イスラームの経済社会 もうひとつの「市場と公正」(一橋大学名誉教授  加藤博)
https://wp.me/p5Gp5K-2qO
「Imagine no possessions」は、所有概念で「交換」行為を法律で裏付けそこから出てくる不都合を「再配分」で補正する「国家」を出現させた、「近代」文明に対する抵抗のつぶやきです。つまり西欧近代は経済社会の安定と持続性を目指し民主主義や国民国家の仕組みを考案したのでしたが、そのエンジンである資本主義はマネージが難しい代物で、さまざまな矛盾を引き起こしてしまいました。

しかし「交換」と「再配分」を、まったく異なる仕組みで達成しようとした文明がありました。イスラーム文明です。かれらが考案した「もうひとつの「市場と公正」」を学ぶのに便利な一冊が本書です。
https://wp.me/p5Gp5K-2qO

7.自由の相互承認 人間社会を「希望」に紡ぐ(熊本大学準教授  苫野一徳)
https://wp.me/p5Gp5K-2qR
西欧近代は「自由な個人」を保証することで世界に歓呼をもって迎えられ急速に地球上を覆いつくしていきました。ただしこの「自由」は「レッセフェール(自由放任)」とは異なります。「自由」もひとつの秩序の形態であって無秩序のことではないのです。そして西欧近代の成果、最大のイノベーションは、この秩序の頂点、統治の主体に王でも君主でもない大衆をおくことにした点にあります。統治の主体たる大衆のことを「市民」と呼びます。

市民は「自由」に対し自覚的でなければなりません。つまり「自由」をよく知る必要があります。本書下巻の「第6章「自由」の社会的条件」(目次のクリックで飛びます)から始めてみてはどうでしょう。たとえば次のような一節があります。

繰り返し述べてきたように、「自由」のための社会的な根本条件は、「自由の相互承認」の原理に基づいた社会を構想することにある。
これを実質化するための根本条件は次の三つである。
すなわち、法、教育、福祉。

下巻からあたれるのがおすすめ。
https://wp.me/p5Gp5K-2qR

 

耳をすませば 本を読む天沢聖司(せいじ)

 

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※画像は「耳をすませば - スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI https://www.ghibli.jp/works/mimi/ 」を使用しています。