市場経済は「悪魔のひき臼」

まず指摘すべきは、現在、経済生活に関して、アクチュアリティに富む語りとは、市場経済にまつわるものでしかありえないことである。

実際のところ、1991年におけるソビエト連邦の消滅後、それがベストであるかどうかはともかく、われわれには市場経済以外の経済体制を選択するオプションは事実上ない。

現在、資本主義は多くの深刻な問題に直面している。しかし、我々は、好むと好まざるとにかかわりなく、市場経済のもとでしか生活できない。*

その中で、議論の核心の一つは、市場経済と資本主義との区別である。

参考文献:
大転換-市場社会の形成と崩壊』  K.ポランニー 吉沢英成ほか訳(東洋経済新報社、1975年)
物質文明・経済・資本主義』  フェルナン・ブローデル 村上光彦ほか訳(みすず書房、1985、1986/88、1995/99年)

* カール・ポランニーはその名著『大転換―市場社会の形成と崩壊』のなかで、市場経済を「悪魔のひき臼」にたとえている。関係するものすべてを粉々にし、それに関係したら最後、われわれは後戻りできないからである。それが、われわれが生きる現代という時代の経済環境である。そのため、本書のように、過去の歴史を見直す作業においても、もしその議論にアクチュアリティをもたせるためには、それを市場経済との関係においてなさねばならない。
大転換


 

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