共同育児と音楽

霊長類が共通して協調的になるのは、赤ん坊を守ろうとするときだ。実は人間の音楽的能力は赤ん坊への働きかけによって高められたという説がある。

サルや類人猿の赤ん坊はおとなしいのに、人間の赤ん坊はよく泣く。それは体重が重くひ弱な赤ん坊を抱き続けることができず、お母さんが赤ん坊を手から離してしまうからだ。

お母さんから離された赤ん坊は不具合を感じたら一生懸命に泣いて自己主張をする。それを泣き止まそうとして、周囲は音楽的な声で語りかける。


■参考文献
『人間の音楽性』  ジョン・ブラッキング 徳丸吉彦訳(岩波現代選書、一九七八年)原著一九七三年

『歌うネアンデルタール——音楽と言語から見るヒトの進化』  スティーヴン・ミズン 熊谷淳子訳(早川書房、二〇〇六年)原著二〇〇五年

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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