資本主義とイスラーム経済の比較

資本主義の具体的特徴のうち、市場の価格メカニズムの活用や経済成長はイスラームでも是認されるものである。違いを利用した金儲けについては、実物取引における金儲けは大いに推奨されるのに対して、貨幣取引における金儲けは堅く禁じられている。経済における政府の役割については、市場の公正を保つ以外の役割は最小であるべきという考え方が歴史的にも優勢であった。

参考文献:
「アドルと「神の価格」―スークのなかのマムルーク朝王権」長谷部史彦 『比較史のアジア―所有・契約・市場・公正』245-263頁  三浦徹他編(東京大学出版会、2004年)
「資本主義の未来―イスラーム金融からの問いかけ」長岡慎介 『融解と再創造の世界秩序(相関地域研究2)』187-207頁  村上勇介・帯谷知可編(青弓社、2016年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』第2章第3節:公正価格と「神の価格」  加藤博(詩想舎、2020年)

□関連知識カード:
 イスラームは政治の経済への過度な介入を諌めた

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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