社会に埋め込まれた経済

カール・ポランニーの『人間の経済』第四章の章タイトル。

かつて経済は共同体に内在する理法として、人間の社会的諸関係に埋め込まれた、ひとつの要素に過ぎなかった。ところが近代資本主義が誕生する過程で、土地と労働が商品化した。その帰結として、むしろ社会が経済に埋め込まれているかのように社会が語られるようになった。

「大転換」論で近代的資本主義が決して歴史の必然でも、人間社会の自然でもないことを論証したポランニーはここで、近代経済学が歴史上のすべての経済制度を、社会から独立した市場経済なる観念で説明することの誤謬を繰り返し指摘した。

参考文献:
人間の経済 Ⅰ、Ⅱ』  K.ポランニー(岩波現代選書、1980年)
経済の文明史―ポランニー経済学のエッセンス』  K.ポランニー 玉野井芳郎・平野健一郎編訳(日本経済新聞社、1975年)

■関連知識カード/章説明他:
大転換
「社会に埋め込まれた経済」の主張
結語 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック