アッラー

イスラームの唯一絶対神。アラビア語で語源的には、神を意味するイラーフに定冠詞がついた「アル・イラーフ」のことであり、英語でいうと「the God」に相当する。アラビア語でイスラームは、「唯一の神アッラーに絶対的に服従すること」を意味する。また信者をムスリムというが、それは「絶対的に服従する者」の意である。

特に、唯一絶対神の前にあって全ての物、人が平等であるという考え方が徹底している。たとえば物の究極的な所有者は神であり、人が物の所有者ではありえない。人に許されているのは、排他的ではない物の「占有」であり、その利用である。結果、「所有」について西欧にあるような権利意識とは異なる概念が成立することとなる。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第2章第2節:イスラム経済の経路依存性  加藤博(NTT出版、2005年)
イスラム世界論―トリックスターとしての神』 第一部第1章:トリックスターとしてのアッラー  加藤博(東京大学出版会、2002年)

■関連知識カード/章説明他:
イスラーム世界での世俗主義への反発
イスラームの経済ビジョンとは


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


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