官僚国家オスマンにおけるカーヌーン

シャリーア(宗教法)、カーヌーン(行政法)、ウルフ(慣習法)の三つの規範群は法体系における役割分担を維持しながらも、その結びつきは王朝によって異なったが、それはその王朝の性格を強く反映したものであった。

オスマン帝国の場合、この結びつきの特徴は、カーヌーンが突出した重要性な役割を持つようになったことである。実際、オスマン帝国は歴代のイスラーム王朝のなかで、際立って巨大な官僚機構を備えていた。

オスマン帝国では、スルタンが直接に公布する法から行政が伝達する民事に関わるこまごまとした通達まで、すべて理念的には「勅令」であった。こうして、膨大な量のカーヌーン集(カーヌーンナーメ)が編纂された。

参考文献:
オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)』  鈴木董(講談社、1992年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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