家族の前提条件

エスピナスの主張にヒントを得た今西は、ヒトの家族が形成されるために必要な前提条件を以下の四つであると考えた。

一.外婚制I):社会集団の外から来た個体とのみ繁殖すること。
二.近親交配のタブー化
三.雌雄間での労働(役割)の分化
四.複数の家族を内包する地域社会の形成

今西らは、ゴリラの社会は労働の分化以外の三つをすでに備えているのでは、と予想していた。


■参考文献
今西錦司(1961)「人間家族の起源―プライマトロジーの立場から」、民族学研究, 25: 119-138.

「生物社会学・人類学から見た家族の起源」  伊谷純一郎(『講座家族第一巻:家族の歴史』所収 [一~一七ページ] 青山道夫ほか編(弘文堂、一九七三年))

『家族の起源―父性の登場』  山極寿一(東京大学出版会、一九九四年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(上)「社会」の学としての霊長類学』を構成している「知識カード」の一枚です。

◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック

 

 

   [ + ]

I. :社会集団の外から来た個体とのみ繁殖すること。