初期の日本霊長類学には、大きく分けて三つの目標があった。それは、
一.霊長類種ごとの社会構造の進化を明らかにすること
二.ヒト以外の霊長類に文化的行動を見出すこと
三.上記二つの達成によって、ヒト固有の社会的特徴である「家族の形成」の進化的道筋を明らかにすること
であった。
家族の起源こそ、登山家でもあった今西が目指した「ピーク」だったのだ。I):アメリカの社会人類学者ジョージ・マードックは、人類の社会生活の基礎が「性・経済・生殖・教育」の四点にあるとしたうえで、この機能を果たしうるのは「家族」以外にないとした。他方、今西は一九六一年の『人間家族の起源——プライマトロジーの立場から』で、人間家族が成立するための条件として「インセスト・タブー、外婚制、コミュニティ、分業」をあげた。[編集部]
■参考文献
『人間以前の社会』 今西錦司(岩波文庫、一九五一年)
『ゴリラ』 今西錦司(文芸春秋社、一九六〇年)
今西錦司.1961.「人間家族の起源:プライマトロジーの立場から」民俗學研究.25(3):119-138
『自然学の提唱』今西錦司|松岡正剛の千夜千冊http://1000ya.isis.ne.jp/0636.html [編集部]
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註
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