生物の「存在」の二つの側面

生物には、物理的側面と情報的側面とがあります。

物質的にどんどん入れ替わっても、テセウスの船のように過去の自分との時間的な連続性を保証する「記憶」と、物質的な存在として世界に根を降ろす自分があります。

ここで注意しなくていけないのは、この二つを区別出来ない点です。それらは絡み合いながら、一つの存在として機能しています。生物は情報的側面と物質的側面の両義性を持つ存在であると同時に、それらが同時的に運動する存在です。

これは、量子力学の量子が波動性と粒子性のように二つに見えるという性質を持つ、という言い方と同じように、知能というものが物質的側面と情報的側面という二つの見方が可能な一つの存在である、ということなのです。


■参考文献
進化と知能」 A.I.FM講演 、三宅陽一郎、二〇一三年

★この記事はiCardbook、『<人工知能>と<人工知性>: —— 環境、身体、知能の関係から解き明かすAI—— 』を構成している「知識カード」の一枚です。

人工知能と人工知性
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