何をもって市場社会とするのか

イスラーム世界は市場社会であった。しかし、それを主張するためには、何をもって市場社会とするのかの基準が示されねばならない。基準として想定されているのは、次の二つである。

第一は、その社会が市場の動向にどれだけ感応的であるかである。ここで社会とは、社会層のみならず国家権力を含む、社会を構成するすべての社会集団のことである。この点については、先にカイロでの食糧暴動に関して、指摘した。

第二は、その社会においてどれだけ高い経済の波及効果が観察されるかである。つまり、ある経済行為あるいは経済政策が最終的な経済効果となって現れるまでに、どれほどの迂回的な間接的経済効果を生じさせたかである。この点について、少しみてみよう。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第3章第1節:市場社会の指標  加藤博(NTT出版、2005年)
市場経済の哲学(現代自由学芸叢書)』  桂木隆夫(創文社、1995年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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