イスラーム金融では、個人向けローンの手法としてこのムラーバハが最も頻繁に使われている。そのしくみをムラーバハの典型的用途ある自動車ローンを例に説明する。
まず、自動車を欲しいと思っている(しかし手元のお金に余裕のない)顧客が、自動車の情報を銀行に伝える。情報には、形式、色、新車・中古の別など詳細にわたる。その情報をもとに、イスラーム銀行は自動車ディーラーに発注を行い、自動車を仕入れる。その後、仕入れ値にマークアップ(銀行の利益)を付けて、顧客に販売する。支払い方法は、延べ払いが認められている。
参考文献:
『現代イスラーム金融論』第1章:イスラーム金融の展開と金融システム 長岡慎介(名古屋大学出版会、2011年)
「イスラーム金融を作る―法学者たちの静かなる革命」長岡慎介 『現代中東の宗教・メディア・ネットワーク―イスラームのゆくえ』 千葉悠志・安田慎編(春風社、2021年)
★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。
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