直線的順位に基づいた社会的知性

AがBを追いかけたのは、最低位のCをかばったのでも、ボスとして争いを収めようとしたわけでもない。単に、Aの目の前でBのCに対する優位的行動を見過ごすと、AとBの間の優劣関係も逆転してしまう危険があるからだ。

このように各個体が自他および他者どうしの順位を把握したうえで利己的にふるまう。これがニホンザルの社会的知性である。


■参考文献
『ニホンザルの生態』  河合雅雄(河出書房、一九六四年)

『サル学再考』  水原洋城(群羊社、一九八六年)

『高崎山のサル』  伊谷純一郎(講談社学術文庫、二〇一〇年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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