イスラーム法体系の中のファトワー

投稿日:

ついで、ことが緊急を要し、宗派あるいは法学派の違いを越えた法解釈の合意が必要な場合には、時の政治権力者はムフティーと呼ばれた高位の法学者に意見を求めた。このムフティーの法意見はファトワーと呼ばれ、これまでに多くのファトワー集が編まれ、公刊されている。*

参考文献:
イスラム世界論―トリックスターとしての神』 第二部第3章第2節:イスラム法とイスラム法体系  加藤博(東京大学出版会、2002年)
イスラム法通史』  堀井聡江(山川出版社、2004年)

* このことから、権威と権力の二重構造というイスラーム社会での特徴が生まれる。前者はファトワー、シャリーア、後者はカーヌーンという規範によって象徴される。前者は国境を超えるのに対して、後者は国境内にとどまる。


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック