差額地代と機械

優秀な機織り機を保有する生産者は、普通の機織り機を保有する生産者よりも、効率よく布を織り上げることができる。このため、同じ質・量の布を市場に出荷する場合、優秀な機織り機を保有する生産者の方が、より少ない労働力ですむことになる。

劣悪な機織り機を保有する生産者は、より多くの労働力を要し、市場からの収入がすべて雇用者の賃金に充てられることになるとしよう。これが「耕作限界」に相当する。そうすると、よい性能の機織り機を保有する生産者には、劣悪な機織り機を保有する生産者が要した労働力よりも少ない労働力によって生産することができた分だけ賃金を節約できる。これが、超過利潤(レント)となる。

こうして地代は、供給制約のある生産要素をたまたま保有している生産者に与えられる「レント」となり、自然の恵みとは無関係の概念となった。


■参考文献
『経済学および課税の原理』  デイヴィッド・リカード 原著一八一七年
★この記事はiCardbook、『なぜ経済学は経済を救えないのか(上)視座と理念の転換』を構成している「知識カード」の一枚です。

なぜ経済学は経済を救えないのか
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