ただしヘーゲルは、いわゆる「大きな政府」としての福祉国家を提唱したのではなく、より重要なものとして、市民相互の共助システムを構想している。
単純な市場万能主義でも、国家による福祉至上主義でもない仕方で、すべての個々人の「自由」を実質化していこうとしたところに、ヘーゲルの独自性と、今日なお注目されるべき意義がある。
■参考文献
『現代の公共哲学とヘーゲル』 福吉 勝男 二〇一〇年
『使えるヘーゲル 社会のかたち、福祉の思想』 福吉 勝男 二〇〇六年
★この記事はiCardbook、『自由の相互承認—— 人間社会を「希望」に紡ぐ ——(下)未来構築の実践理論』を構成している「知識カード」の一枚です。
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