せめぎあう諸欲望

しかし、何でもやりたい放題ができるなどということは、実はあり得ないことだ。

なぜか? わたしたちの欲望は複数あり、そしてそれらは絶えず対立し合っているからだ。

美味しいものを食べたい、しかし太りたくはない。人から愛されたい、しかし自分を曲げたくない。成功したい、しかし何の努力もしたくない。わがまま放題でいたい、しかしそのことで人から非難されたくはない。わたしたちは、常にこの対立し合う「欲望の複数性」の中に投げ入れられているのだ。


■参考文献
『精神現象学』  ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル 原著一八〇七年I):本書はヘーゲルの体系的思想の出発点ともいうべき著作。初め『意識の経験の学』という表題で書き進められたが、のち『精神現象学』の題名に変更された。観念論の立場にたって意識から出発し、弁証法によって、現象の背後にある物自体を認識し、主観と客観が統合された絶対的精神になるまでの過程を段階的に記述した。[編集部]

苫野一徳Blog(哲学・教育学名著紹介・解説): 竹田青嗣『人間的自由の条件』[編集部]

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I. :本書はヘーゲルの体系的思想の出発点ともいうべき著作。初め『意識の経験の学』という表題で書き進められたが、のち『精神現象学』の題名に変更された。観念論の立場にたって意識から出発し、弁証法によって、現象の背後にある物自体を認識し、主観と客観が統合された絶対的精神になるまでの過程を段階的に記述した。[編集部]