人類は狩猟者ではなく被食者だった

人類はその進化の歴史のほとんどで、強力な狩猟具も強い闘争力も持っていなかった。おそらく、人類は他の霊長類と同様、食肉目I):主として肉食性の哺乳類のグループで、獲物を捕えるのに必要な目、耳、鼻、触毛(ひげ)などの感覚器官がよく発達し、運動能力も高い。現在私たちが目にする陸上性のものでは、ライオン、トラ、ヒョウ、オオカミ、クマ、ハイエナなど。などの強力な捕食者に怯えて暮らしてきたのだろう。

人類の本性は暴力にあるのではない。この問題を解き明かすには、霊長類の攻撃性とコミュニケーションについて俯瞰する必要がある。


■参考文献
『ヒトは食べられて進化した』  ドナ・ハート、ロバート・W・サスマン 伊藤伸子訳(化学同人、二〇〇七年)原著二〇〇五年

『暴力はどこからきたか——人間性の起源を探る』第五章 暴力の自然誌―子殺しから戦争まで  山極寿一 (NHKブックス、二〇〇七年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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I. :主として肉食性の哺乳類のグループで、獲物を捕えるのに必要な目、耳、鼻、触毛(ひげ)などの感覚器官がよく発達し、運動能力も高い。現在私たちが目にする陸上性のものでは、ライオン、トラ、ヒョウ、オオカミ、クマ、ハイエナなど。