裸にされる個人

通信技術の発達によって、人々は他者に頼らなくても生活できるようになった。I):一日中部屋から出なくても、インターネットで必要なものはすべて手に入るし、仲間と会話することができる。世界の様子を知るのも、好きな映画や音楽を楽しむことも、電子書籍で古今東西の本を読むこともできる。

しかし、家族や共同体とのつながりが希薄になったおかげで、個人はむき出しの裸で社会に接するようになった。自己実現が奨励され、自己責任が問われる時代である。人々は頼れる仲間を失い、制度や保険によって自分を守らなければならなくなった。弁護士や保険制度が必要性を増している。


■参考文献
『「サル化」する人間社会』第七章 「サル化」する人間社会  山極寿一(集英社、二〇一四年)

「サルから考える人間のコミュニティの未来」  山極寿一(『ネットコミュニティの設計と力』所収 [一二九~一六〇ページ]  近藤淳也監修(角川学芸出版、二〇一五年))

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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I. :一日中部屋から出なくても、インターネットで必要なものはすべて手に入るし、仲間と会話することができる。世界の様子を知るのも、好きな映画や音楽を楽しむことも、電子書籍で古今東西の本を読むこともできる。