規定性の自覚

わたしたちを規定する最も根本的なもの、それはわたしたちの「欲望」それ自体である。愛されたいのに、愛されない。裕福になりたいのに、なれない。わたしたちは、わたしたちの欲望それ自体によって、本来的に規定された存在なのだ。

さらにまた、わたしたちの欲望は、先述したようにその複数性のゆえにわたしたちを根本的に規定している。

わたしたちが「自由」を実感するためには、まずはこの規定性を徹底的に自覚している必要があるのだ。


■参考文献
『精神現象学』  ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル 原著一八〇七年

『ヘーゲル読解入門―『精神現象学』を読む』  アレクサンドル・コジューヴ 原著一九四七年

「これからの教育メディアの本質的意義と役割──教育哲学の視点から」 苫野 一徳[編集部]

★この記事はiCardbook、『自由の相互承認—— 人間社会を「希望」に紡ぐ ——(上)現状変革の哲学原理』を構成している「知識カード」の一枚です。

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